ドライアイ
ドライアイ
ドライアイは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気であり、目の表面に傷を伴うことがあります。いわばドライアイは涙の病気といえます。高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者様も増えております。
「目がショボショボする」など初期症状がドライアイと似た病気に「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」があります。40歳以上の女性に多く、症状が進むと自分の意思で目が開けられなくなります。ドライアイの治療を受けても回復しなければ、ボトックス注射などの眼瞼痙攣の治療を考慮いたします。(当院では施行していません。)
目の疲れやかすみ、痛み、まぶしさ、充血、など眼精疲労の症状も、ドライアイの症状と重複します。眼精疲労が原因の場合や、併発している場合は眼精疲労の治療も必要になります。
ドライアイは、長時間パソコンやスマートフォンの画面を見続ける若い人が訴えて受診されることが多い病気であることは事実ですが、実は、ドライアイで受診する人の半数近くは50歳以上の方々が占めています。その理由として、年齢を重ねるとともに涙をつくる機能や粘膜が衰え、ドライアイになる可能性が高まると考えられています。
コンタクトレンズを使用している方は、使用されていない方に比べて目が乾燥しやすい状態にあります。目がごろごろする、充血するなどの症状が出る方はドライアイの可能性が大です。
仕事で毎日パソコンを長時間使う方、特に、細かい数字や文字を扱うなど、精神を集中することが多い仕事をなさる方は要注意です。ネットゲームで画面を凝視している方も注意が必要です。
空調が効いたオフィスで一日中仕事をなさる方、家庭で無防備に空調の風を顔にあてている方は要注意です。目はすぐ乾いてしまいます。
屈折矯正手術は、レーザーで角膜を削って視力を向上させる手術。ほとんど場合、一時的に知覚低下が生じて、合併症として術後3~6カ月程度ドライアイになります。ほとんどの場合、一定期間が経過すれば改善されますが、中には長期に渡ってドライアイが改善されない場合もあります。
残業や飲み会、深夜のネットサーフィンや電話で、睡眠不足になっていませんか?夕方や夜になると目の調子が悪くなる方はドライアイの可能性があります。
仕事で航空機に長時間乗ること多い方やホテルをよく利用される方は、注意が必要です。
春に多い花粉症。花粉症は、スギなどの花粉によっておこる目や鼻のアレルギーです。花粉症になると目がかゆくなったり、充血、涙が出るなどの症状がでますが、これらの症状はドライアイでもみられます。ドライアイと花粉症は似たような目の症状があり、ふたつの病気が合併していることもあります。
タクシーやバス、トラックなど長時間運転する職業の方、仕事で車を使うことの多い営業職の方、ドライブが趣味の方、運転中に目に不調を感じるようならドライアイかも。
年をとると私たちの身体にはさまざまな老化現象が現れ、目も例外ではありません。年齢を重ねるごとに涙をつくる涙腺の分泌機能が低下し、分泌する涙の量が減ることが知られています。
1
目の疾患を探る視力検査
眼科で必ず行われる、最初の検査です。視力から、ドライアイだけではなく、ほかの疾患がないかを探ります。
2
目の傷の有無・程度を探る顕微鏡検査
目の表面の傷を見る検査です。フルオレセインという黄~橙色の試薬を点眼すると、角膜(黒目)の傷のある部位が染まります。細隙灯顕微鏡で染色部を観察しながら、傷の有無や程度をチェックします。
3
涙の質を調べるBUT検査
涙がたくさん出ても、質が良くないために目の表面がすぐ乾くこともあります。涙の質を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(BreakUpTime)を測ります。BUTが5秒以下の場合、ドライアイが疑われます。
4
涙の量を調べるシルマー検査
涙の量を調べる検査で、目盛りのついた専用の試験紙を下まぶたの端に5分間挿入します。試験紙が涙で濡れた長さで、涙の量を測ります。涙の量が5mm以下の場合、ドライアイが疑われます。試験紙の挿入による刺激で分泌される涙の影響を避けるために、点眼麻酔を使用する「シルマーテスト変法」を行うこともあります。
ドライアイには、専門的な治療が効果的です。おもな治療には、環境の改善や、点眼液治療や、涙点閉鎖などがあります。
まばたきの回数を意識的に増やすようにしましょう。人間は集中した際にまばたきの回数が大幅に減ってしまうため、パソコンやスマートフォンを使っている時には特にまばたきを増やすよう心がけてください。また、エアコンは室内の空気を乾燥させてドライアイの症状を起こしやすくします。直接、エアコンの風が当たらないようにする、卓上加湿器を設置するなどで、乾燥をできるだけ解消させてください。目の周りだけ加湿できるドライアイ用の眼鏡も有効です。
従来は、水分を補給し、傷ついた角膜を修復するタイプの目薬が使用されていました。最近では、涙の各成分に直接はたらきかけるタイプの目薬が開発されたことにより、ドライアイ患者様ごとの涙のタイプに応じて、正常に機能していない涙の層をターゲットとした層別治療が可能になりました。
点眼液で効果が得られない場合は、涙点閉鎖による治療を行います。涙の排出口である涙点を閉じ、涙の流出を抑えて、涙を目の表面に十分にためる方法です。涙点にシリコンや合成樹脂製の涙点プラグを挿入します。また、涙点閉鎖の治療には、涙点を縫い合わせる涙点閉鎖術もあります。
前述したように、ドライアイの治療は点眼薬や涙点プラグが使用されておりますが、まぶたの裏側のマイボーム腺という脂を分泌する腺のつまりによって起こるMGD(マイボーム腺機能不全)による脂が足りないタイプのドライアイにはIPL治療が効く可能性があります。
涙は99%の水と1%の脂からなっており、涙には脂も必要な成分です。IPLの光を使ってマイボーム腺の詰まりを解消することで脂の分泌を改善させる効果が期待できます。ご自身がどのようなタイプのドライアイか気になる方は眼科受診をお勧めします。
治療は3~4週間ごとに4回以上のセッションが推奨されます。個人によって効果は異なりますが、治療効果は早く現れ、セッションを重ねるごとに持続時間が長くなることがあります。IPL治療は自費診療となっているため、費用については医療機関にお問い合わせください。
目の疲れやかすみ、痛み、まぶしさ、充血、それに付随する頭痛や肩こり、吐き気、めまいなどの症状が現れ、休息や睡眠の後も十分に回復しない状態です。スマートフォンやタブレットの長時間利用、パソコン作業などが一般的になって、眼精疲労を訴える方が急激に増えてきています。眼精疲労は全身疾患によって起こることもありますし、ストレスや不安などによって現れるケースもあります。デスクや椅子の高さやモニターの角度などの環境因子や、化学物質などの影響も指摘されているため、生活習慣を見直すことで改善につながることもあります。
治療は、原因をできるだけ排除することが重要ですので、じっくりお話をうかがって原因をさがします。たとえば、眼鏡やコンタクトレンズが用途に合っていなくて眼精疲労を起こしている場合には、新しく作り直します。当院には視能訓練士(眼科検査や弱視治療を行う国家資格)が2名在籍していますので、正確な検査で正しい眼鏡を処方いたします。
また、症状に合わせた生活習慣の改善も効果が期待できます。パソコンやスマートフォン、タブレットなどを使用する際には、1時間に1回、5分程度の休憩を入れるよう心がけてください。モニターの角度など環境面のきめ細かいアドバイスもさし上げています。さらに、ビタミンが配合された点眼薬や目の筋肉の緊張を軽減する点眼薬などの処方を行うなど、必要に応じて対応しています。
ドライアイやアレルギー性結膜炎の症状は、目が開けにくい、目が重い、目の奥が痛いなど眼精疲労の症状と重なることが多いので、併発している場合は、ドライアイやアレルギー性結膜炎の治療も必要になります。